はじめまして、無茶ぶり大王・のりつなと申します。
前回のQt勉強会@Tokyo #43にて、無茶ぶり^H^H^H^Hお話しさせていただいた内容を簡単ながら シェアさせていただきたいと思います。
ずばり、今回のお話は、
「Qtベースの衛星追尾・通信ソフトウェアを作ろう!」
ということでございます。 意味が分からんとか言う心の声が聞こえてきましたので、簡単に流れを言いますと、 わたくしめは、現在こちらの超小型衛星(※1)の開発のお手伝いをしております。 http://stars.eng.shizuoka.ac.jp/ ※1 CubeSatなどとも呼ばれる1U = 10cm^3サイズで1~2kgの衛星です。1ミッション(単機能)だけを搭載するのが普通。
そこで、わたくしめは、ソフトウェアや通信周りを担当しております。 そして、その中で、わたくしどもは、今後の超小型衛星開発にける通信分野の発展が急務と考えております。 なぜなら、現在の超小型衛星の通信速度は「9600bps」という、太古の昔におっさんどもがのめりこんだパソコン通信レベルの速度しかないためです。 これでは、テキストレベルの通信は可能ですが、画像でさえ苦しく、映像など夢の世界となっています。
そして、昨今では単機能な超小型衛星といえども、科学系ミッションで生物や化学を扱うようなミッションを搭載しようとする流れがあります。 しかし、この手の科学系ミッションにおいては、画像や映像などが要求される場合が多いのです。
そこで、超小型衛星向けの高速・大容量通信が求められているのです。
さらに、民間のロケット系会社が、日本でも↓な感じやホリエモンのインターステラ社、世界的にはステラ社のイーロンマスク氏など みんなこぞって超小型衛星分野というやつを狙っているのです。 失敗はしてしまったけど、超小型衛星打ち上げに適した超小型ロケット: http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2960261.html
そして、これらが無事に立ち上げってくれば、この日本Qtユーザー会くらいの団体であれば 十分に自力で超小型衛星を開発し、打ち上げられるという時代が来ようとしています。 (ちなみに、現時点でも、個人でも民間組織でも300万円で超小型衛星打ち上げができます。)
そこで、わたくしどもは、この超小型衛星分野の継続的発展のため、「115Kbps」を目指して、通信機やその周辺のソフトウェアの開発をしております。 その中で、
「Qtベースの衛星追尾・通信ソフトウェアを作ろう!」
というお話があるのです。 なぜ、こんな話になっているかというと、
「衛星受信用SDR(Software-Defined Radio)で、スマホで受信したい!」
というなのです。もう少し詳しくお話ししますと、
大雑把な動作図: http://www.noritsuna.jp/download/ColNet.pdf
のように、超小型衛星からの通信は、無線でブロードキャストされてきますので、それを皆で受信して、 コントロール・サーバに送信してマージすれば、
「補完し合う=エラーレートが下げられる=通信速度が上がる!」
というお話です。
補足として、あまりなじみがないと思われる通信機や衛星無線の話をさせていただきますと、 今までの衛星向け無線通信設備ですと、一式100万円くらいはかかる機器をそろえないといけません。 こんな感じ: http://stars.eng.shizuoka.ac.jp/for_astro/IMG_2216_l.jpg
それを、いま、SDR(Software-Defined Radio)という分野の機器で、これの衛星向けの バージョンを作ることを想定しています。 SDRとはなにかというと、USB接続して、PCやスマホ上でデジタル通信するための処理を行う機器と思ってもらえればよいです。 アナログ的な電波の(送)受信だけをSDRで行い、それ以降のデジタル変調などは全部PCやスマホ上で行うことにより、 いろいろな変調方式に対応できたり、機能を追加できたりするというものです。 一番有名な機器としては、RTL-SDRというものがあります。一番安価なタイプは400円ほどで買えます。(Androidスマホでも動作します) http://www.rtl-sdr.com/
しかし、この手の一般的に売られているRTL-SDRと呼ばれるものでは、超微弱な衛星の電波を受信できません。 そこで、アンプやノイズフィルターなどを装備した、衛星無線受信専用のSDRを作ることが目標なのですが、 既存の「衛星追尾・通信ソフトウェア」は、10年以上前に作られているのがほとんどで スマホでの動作を期待できないか、OSSではなく改変できないのです。 日本でよく使われているソフトウェア:Calsat http://jr1huo.my.coocan.jp/jr1huo_calsat32/index.html
そこで、この「SDR+スマホ」を前提とした新しいタイプの「衛星追尾・通信ソフトウェア」を作って、 超小型衛星分野に一石を投じようというお話なのです!
さて、みなさんのやる気が天元突破したところで、
@hermit4 @IoriAYANE @nekomatu
あたりが中心に開発・取りまとめをしてしてくれるとのことですので、 「ちょっち、おれにも!」という奇特^H^H有志の方は、ぜひコンタクトをお願いいたします。
-----おまけ----- いろいろな分野を渡り歩いてきた感じからすると、この超小型衛星分野は、ドローンの黎明期のころにそっくりです。 まさに、Maker Fiare立ち上げの立役者のクリスアンダーソンの3D Robotics社が作られたころの再来な感じです。
このころのドローンと同じように「知識があれば」作れる超小型衛星のキットや部品を販売する専門の会社ができ始め、 それをビジネスにする会社が立ち上がり、出資を受ける事例が出始めるという状況です。 (日本でもアクセルスペース社などがそれにあたります。 https://www.axelspace.com/ )
もちろん、ドローンほどメジャーになるとは思えませんが、用件があうなら選択肢にできるくらいにはメジャーになるのではないかと思います。 ---------------
以上。
-------------------------------------------------------------------------------- Noritsuna Imamura (今村謙之)
mailto:noritsuna@siprop.org info:http://www.siprop.org/en/2.0/index.php?noritsuna --------------------------------------------------------------------------------